H21全日本実業団アマチュアボクシング選手権大会総評。

今年の全日本実業団に正直、結果は求めてはいなかった。今年は「準備の年」だとずっと言っている。なんの為の準備なのか?それは住吉、直人の先(将来)に向けての準備であり、僕の、そしてジムの今後への準備でもある。
その為の住直の「自力」を高める為に今年に入って指導を封印した。自分達で試行錯誤しながらのボクシングの追及に間違いも失敗もある事は分かっていた。それでもいいんだ。間違いや失敗から多くを学び、「ボクシング」というモノをもう一度真剣に考える期間を与えたのだから。
白石は練習で多くの負を背負う事で大逆転勝利というモノを得られる事を経験し、一つの壁を越えた。そして準決勝では格上の相手にまだまだ自分に足りていないモノを多く学べたはずだ。
直人は一階級上げての実業団への挑戦。今年が「勝負の年」であるのなら去年の階級での出場を僕は推した。だけど今年は推さなかった。負ける事から今まで見過ごしていた自分の課題に目が向くようになるという狙いもあるからだ。それが僕が求めた「先に繋がる今年の実業団への出場」だった。直人のキャリアはまだ住吉の半分でしかない。去年の実業団、社会人でのW優勝は「結果を出す年」として挑んだからこその成果だった。直人のヘッドギアの後ろには「雑草の如く逞しく」と書かれている。よく自分が分かっている。門司フィットネスに天才はいない。負けてもそれを肥やしとして成長を続ける選手、人間になる事が何よりの価値なのだと思う。直人に心配はない。
そして問題の住吉。僕の指導封印を思い立たせた張本人でもある。8年間多くの失敗や間違い、成長を繰り返し、僕を成長させてきた。減量なしでの実業団三階級制覇への挑戦ではあったが、本人がそこに懸ける想いは様々な行動を見ていても価値が薄いように感じていた。住吉にとって実業団への出場が価値あるモノなのかとずっと考えていた。しかしこの大会で一番大きく学んだのは住吉だったのかもしれない。負を背負っていない不安。大会の中で物事や人を舐めずに、格好を付けずに全力で臨む事を学んだ事だと思う。その結果が優勝であり、最優秀選手賞受賞に繋がったのだと思う。この経験や導きを忘れずに今年の本当の目標である全日本選手権優勝に挑んでほしい。
全日本実業団選手権を終えて、正直思った以上に多くの事を学びました。日頃から考えていた概念が確かなモノになってきました。それは試合相手は敵なのではなく自分自身に与えられた課題であるという事。課題に感謝し、敬意を払い、その課題に対して全力で臨む事が先を目指す僕らの「今できる事」なのだと思います。
一回戦より二回戦、準決勝より決勝と、自分が強くなればなるだけ相手(課題)も強くなっていきます。いつまでも弱い相手(課題)と戦っていても大きな向上はありません。人は向上する為に生きているのだと感じさせられます。それがこの世の摂理なのかもしれません。
住直白、そして僕自身にも多くの学びや感動の場を与えてくれた実業団運営陣の皆様、そして対戦相手又ジム関係者の皆様、援助頂いた山口県連にも感謝致します。
また人手不足の為、セコンドをお手伝いいただいた団体優勝の「884ボクシングジム」の林会長ありがとうございました。
また選手らに餞別を頂いた山口さん、応援やコメントを頂いた皆様、大きな学びができた事を皆様にも還元できるようにこれからも頑張っていきますのでこれからも応援よろしくお願い致します。ありがとうございました。
                           会長 高橋正行

最後はキメッ!