「高橋ボクシング」あるがまま。

ボクシング的な「あるがまま」も書いておきたい。僕は選手達に様々な相手に対するボクシングを指導するし、考えておくように促す。
背の高い相手、サウスポー、カウンターパンチャー、ハードパンチャーなど細かく分ければもっといろいろなスタイルの相手がいる。これは人間関係にも例えられる。
僕もボクシングを始めた当初は自分よりリーチの長い相手が非常に苦手だった。そんな時はいつもの自分のスタイルではないファイター的なボクシングをしていた。
自分のボクシングが貫けない事を常に悩んでいた。自分より背が低くリーチの短い相手には強い。サウスポーもフットワークと右ストレート一本で勝てた。ただリーチの短い僕は極端にリーチの長い相手が苦手だった。
ジョー小泉の「ボクシングは科学だ」という本を読み「ジャブはリーチの長い選手の専売特許ではない」とうページを何度も何度も読み返した。
ある気づきがあり、リーチの長い相手にもジャブで打ち負けないようになるまでに4年掛かった。それから僕に苦手なタイプはいなくなった。
自分の苦手なタイプに出会う度に考え、修正し、引出しを増やしてきた。その経験が今、選手らを指導するとき役に立っている。その経験が多ければ多い程、穴のないボクシングスタイルが確立できるのだと思ってやってきた。「自然体」最後に辿り着く場所がそこだと思っていた。
残念ながら、東京で体を壊してから3年後の復帰戦で事故に遭い、僕のボクサーとしてのその道は絶たれた。
今、トレーナーとして指導者として目指す場所もやはり変わらない。上を目指す選手にとって、相手によって自分のボクシングを変える事も必要だし、多くの引出しを作っていく事も必要だと思う。その「今できる事」の延長線上にあるがままの「自然体(ナチュラル)」なボクシングが存在するのだと思っている。
ボクシングでも人生においても「あるがまま」で通じる自分を作っていく事は同じなのだと思う。    マサ