住吉、決勝戦試合内容。


作戦どおりの先制攻撃が決まり、序盤からペースを握る。リードも当たる。いけるぞ!そんな予感がした。

練習してきた様々なコンビネーションも多く当たった。中盤に掛けて受けに回るシーンが出だしたので、「受けるな!先手!!」と声を飛ばす。

インターバル中、セコンドの白石からも「ブロックしたパンチもポイントを取られているから、バックステップで外せ!」と住吉に指示が出る。リングサイドの白石にはジャッジらの押しボタンの音が聞こえていたからだ。
本当はブロックしたパンチはポイントになってはいけない。だけど、それも想定して作戦を練ってきた。「受けるな!リズムを切るな!」と僕も声を飛ばす。
一進一退の攻防が続く中、住吉が受けるシーンやリズムを止めるシーンが目立つ。それでもコンビネーションやリードなどクリーンヒットでは住吉が勝っていたように思う。ただパンチのある相手だけに、受けたパンチがブロックの上からでも目立つ。
今のアマチュアボクシングのジャッジの仕方を考えるとこのままでは厳しい事を感じていた。もう玉砕覚悟で行くしかない!「住吉!手を出せ!!」と声を飛ばすが、ペースは変わらぬまま、最後のゴングが鳴った。

相手の手が上がり、20対8と大きくポイントに差が付いたが、勝負としては決して大きな差はなかった。

くそ~と悔しがる住吉だが、作戦を最後まで実行できなかった住吉に僕からの説教は長く長く続いた・・
会場からは「惜しかった」と多くの方から声を掛けて頂いたが、今までにも格上の選手相手に何度も同じような負け方をしている。非常に惜しい試合だっただけに悔しさは尚更大きい。
最近のボクシング(技)の向上やダッシュ(体)の成果が発揮でき、大きな向上が見られていた。それだけに住吉の敗因は「心」だと感じられた。ボクシングでも能力でも負けてはいなかった。一番大切な「心」が原因で負けた訳だ。
減量が苦手なのも「心」に問題がある。作戦を最後まで実行できないのも「心」。普段から「心」を高める努力をしていたか?と厳しく問う。
住吉の念願である全日本チャンプまでもう手が届きそうだった。だけど、その「あと少し」がとても大きな事は分かっている。
自分を変える事はとても大変だが、住吉にも僕にも「あと少し、もう少し」と自分を変える事を促されたような気がした。         マサ
H21全日本社会人選手権大会総評へつづく。