呼ばれる。

今日は家族は倒れている。家に帰っても晩飯がない。そこで外で食おうと思い、住吉に電話。諸事情でダメ。直人、食いしん坊が来ない。仕方ない、一人で行こう。
駅前の行きつけの店に着いて、いつもの奴を頼む。店主のJちゃん(女性)とは、この店で出会い、もう10年以上の付き合いになる。
この不況での悩みを聞く事もよくある。今日も「やっぱり高ちゃんが来た!」と彼女は言う。
彼女には師匠とも言える、絶対の信頼を置くマスターがいた。だけど、数年前にマスターは他界した。
彼女が悩んでいるベストタイミングに僕が訪れ、「マスターが呼んでくれた」といつも言う。
今日も悩む彼女に約1時間半ほど話しをした。僕の話しを聞きながら彼女はポロポロと涙をこぼす。
話しが終わり、「高ちゃんにも、これを読んでほしい」と僕に一通の手紙を差し出した。
それはマスターと5年間関わってきた女性から悩むJちゃんに宛てた手紙だった。読み始めて数行を読んだ時点で鳥肌が立った。三枚の手紙を読み終わるまで鳥肌が立ち続けた。こんな事は生まれて始めてだった。
そこには今、僕が彼女に話した事と多少の言葉は違えど、まったく同じ内容が書かれていたからだ。「Jちゃんが泣く訳だ」と思った。
彼女の壁(課題)は見えている。自分でも、今変わらなければいけないという事は分かっている。だけど、その一歩を踏み出す勇気が出ない。
応援もするし、アドバイスもできる。だけど一歩を踏み出す事ができるのは彼女自身でしかない。
「今の状況を変える事ができるのは自分しかおらん。自分次第よ。今できる事からやっていこうや。ここが正念場。頑張りや~」と言って店を出た。
どうやら僕は本当に呼ばれたようだ。        マサ

マスターの遺した、この「特製冷やしうどん」がいつも僕を呼び寄せる。(笑)