ファンクショナル・アプローチ。

先週の「情熱大陸」は改善士、横田尚哉 という人の話だった。かいつまんで言うと、莫大な費用の掛る公共事業(工事)などのやり方を根本から改善し、大幅な経費削減を実現させているという話だった。
面白いのは、その改善の方法。 ボクシングで例えるなら、サンドバックを打つとき、「なぜサンドバックを打つのか?」と考える。「パンチ力やスタミナの向上の為」となる。更に「パンチ力やスタミナの向上を目指すのは何の為?」と考える。それは「強くなる為」。「強くなってどうする?」と考えると「試合で勝つ為」となる。「なぜ試合で勝ちたいのか?」と考えると「満足したいから」となる。更に「なぜ満足したいのか?」と考えて煮詰めていくと・・・結局は「心」という本質な部分に辿り着く。
逆に会員や選手らがうまくできないという場合も「なぜできないのか?」と原因を究明していく・・そしてできない本質を見つける。その本質が「基礎力不足」や「心」である場合が非常に多い事を僕は知っている。
物事の本質がわかれば、現在のやるべき事、「今できる事」が分かる。
こうやって「何の為に」「誰の為に」と煮詰めていくやり方を「ファンクショナル・アプローチ」というらしい。
この「ファンクショナル・アプローチ」って確か数年前の「金八先生」の授業の中でもやってような気がする。
常々、選手達には「目先の事だけに捕らわれるな。大局を見ろ!」と言う。自分自身にも「何が大事か?」といつも問い掛けてきた。
僕はボクシングという世界や、会長、トレーナーという仕事を選び、向上を求めて生きている。そしてボクシングを通じた様々な経験や勉強から「何が大事か?」と次第に煮詰められてきて・・
「自分次第」  「人の為に」 「今できる事」  というモノに辿りついた。
だから、この横田さんのやり方は非常に共感でき、とても面白く観させてもらった。
じゃあ、この「ファンクショナル・アプローチ」を誰でもできるのかというと、僕はなかなか難しいだろうと思う。多くの知識や経験によってしか正しい「疑問」や「答え」がうまく導き出されないと思うからだ。
住直にも根本大局がもっと見えるようになればボクシング的、人間的向上もグッと早まる。逆に言えば、それが若い二人が持つ大共通の課題だとも言える。
だから、この「ファンクショナル・アプローチ」も一人でやるのではなく、数人で集まって「煮詰めて」いく方が効果の高い「ファンクショナル・アプローチ」になるのだと思う。実際に横田さんも数人の事業関係者らとチームとして工事内容を煮詰めて改善している。
共通の課題(テーマ)と戦っていくときのように複数の人間でやるときには「まとめ役」(指導者)が一人いれば言う事はないのだけど、個人的な「恋愛」「子育て」「仕事」「人間関係」「悩み」などの課題を一人で煮詰めていく事は簡単ではないと思う。なぜか?それは人は自分の事になると冷静(客観的)ではいられなくなるからだ。
僕は自身の課題や、選手や会員らへの課題も改善できないものかと日々模索している。
               「改善」=「向上」           
最後に僕の「ファクショナル・アプローチ」。  
「なぜ向上を目指すのか?」・・「人は向上する為に生まれてきているからだ!」   完 (笑)
                                      ボクシング改善士  高橋正行