観葉植物。2

店のおじさんに、「家に観葉植物を置いてるんですけど、すぐ枯れてしまうんです。何か強い観葉植物ないですか?」と尋ねた。
「私はあたなの家を知りませんが、何度置いても枯れるっていう事は観葉植物には向いていない環境って事ですよ」とぶっきらぼうに答えた。
売る気ないんか?と思ったが、ここは我慢。更に話しを進める。
自宅の環境、生活パターン、枯れた植物、まだ大丈夫な植物、今までに試してきた事、そして「ネイチャーアクアリウム」の話。
その瞬間、おじさんの顔が変わった。
「そんな根気があるなら、大丈夫ですよ。とりあえず今の環境でもいけそうなのを試してみたらどうですか?」と一転。
その後は、お店の植物の説明を聞きながら、いろんな話もしてくれた。
「お花屋さんってこれは強いですよ。とか言いますけど、それは乾燥に強いのか、日差しに強いのか、水に強いのか、って事をきちんと話さずに、かなりいい加減な事を言いますよ」
そういえば、僕も何度もそのパターンで枯らしてきた・・
おじさんの話しから、観葉植物の育て方について、いろんな間違いをたくさん犯していた事にも気づいた。
更に 「お客さんの好むモノと私が勧めるモノとは大抵真逆なんですよね」 と笑った。
多くのお客さんが、ただ自分の好みの観葉植物を求めてくる。おじさんは、そんなやり取りに嫌気がさしていたんだろうと思った。
おじさんのアドバイスを聞きながら、自宅の、そして僕の生活パターンに合った小さな観葉植物を二つ選んだ。
「小さな鉢モノより、大きな鉢モノの方が、乾燥もしにくいし、簡単ですよ」とも教えてくれた。
確かにそうだな、とは思ったが、置き場所が限られている事を話し、小さなモノを二つ購入した。
どうやっても、うまくいかなかった観葉植物の育て方に一筋の光りが見えた気がした。
選手らへの指導同様に、自分本位な選び方や見方をせず、個々に合った最適な方法で、手を掛け過ぎず、よく見守り、環境への向き不向きを考える事も大切なのだと改めて思った。
おじさんから買った観葉植物を受け取り、笑顔で 「また来ます」 と言って店を後にした。
帰りの車中、思わぬ いい出会い に幸せな気分になった。
うまく育っても、枯れてしまっても、また、あのおじさんの店に行こう。     終