住吉、試合内容。


故郷への恩返しの為に、この大会に合わせて準備をしてきた。ここ数試合、結果が出ずにいる住吉は今が成長の時。今日は住吉のご家族も応援に来てくれている。
「勝ちたい!」という思いから、万全な準備を心掛ける。

そして運命のリング下へ。

試合前、住吉を呼び言った。「勝ち負けを気にするな。自分のボクシングを信じて思い切りいけ!」
と。
住吉に与えた課題は「徹底」と「1+1=2」。この試合に勝って勢いに乗れば入賞も狙える。

今まで苦手としてきた長身のサウスポーとの対戦。ここ1ヶ月、策は練るだけ練ってきた。序盤、リズムとリードでいい滑り出し。問題は2ラウンドから。
2ラウンドに入り、徐々に距離を縮め、パンチが入る。それでもまだ決め手が足りない。「勝負~!!」と声を飛ばす。
3ラウンド、積極的に攻撃を仕掛け、パンチが入る。ところが、足が揃ったところに左ストレートを貰い、ダウンを奪われる。

立ち上がり、猛然と追い上げ、ボディを効かせてダウンを奪い返す。僕の横では直人が泣きながら声を飛ばしている。ラスト30秒!RSCまであと少し!「いけーっ!!」

試合終了。相手選手の手が上がる。
 
アマチュアボクシングの採点基準から住吉の得意な小さな効かせるパンチがポイントになりにくい事は分かっていた。勝負的に負けてはいなかった試合だけに悔しさややるせなさが強く僕らに押し寄せてきた。
そして、この試合で住吉のアマチュアボクシングは終った。
山口県への恩返しやご家族達や応援してくれる方々に喜んでもらう為に「山口国体までは・・」と選手らと話し合ってここまでやってきました。
しかし成果を出す事ができず、本当に申し訳なく思っています。それでも、今日の住吉の試合は今までで一番感動する良い試合でした。
苦手なタイプの選手を相手にしっかりとボクシングをし、僕がいつも注意を与える部分をすべて無くし、ピンチに負けずに逆転のダウンを奪い返しました。
成果をあげる事はできませんでしたが、住吉の強い思いがあり、僕らにも観ていた人達にも大きな感動を与える試合でした。
「感動」こそが人生の大切な意味の一つであると僕は思っています。
挫折や苦難や試練。それらは人を成長させる為に与えられる、いい経験なんだと思います。住吉も僕らも、それらに負けません。何度でも立ち上がり、改善し、諦めません。
それが「ボクシング」をする意味であり、人として成長し、成功する為に必須だと思っているからです。
住吉の次のステージは前から決めていたとおり変わります。まだ何度かの失敗や試練に遭う事もあるとは思いますが、これからも温かく長い目で応援よろしくお願い致します。    会長

苦難を抱える人達の希望の星となり、勇気を与えられる選手になってほしい。