経験に勝る学びなし。

高橋イズム

デビュー戦で拳を痛めた直人が久々に右を使って僕のミットを打った。
僕が8年間言い続けてきた右ストレートの「抜き」が遂にできるようになっていた。これは直人にとってはものすごい成長だ。
アマチュア時代からずっと直人のテーマであった「右ストレート」及び「ワンツー」。以前からボクシングの堅さや体の堅さは心の堅さだと言ってきた。
バーニング石井。6回戦プロデビューのコムペット・シットサイトーン戦。
試合前のミット打ちの時点でいつも以上に堅さが目に付いた。分からぬ相手、多くの応援、プロデビュー戦というプレッシャーが故であった事は間違いない。
試合が始まり、慎重な立ち上がり。相手のウィークポイントを掴んで徐々にペースを奪っていった。ポイントはフルマーク。あとはいかにKOに結びつけるか。
インターバルでコーナーに戻ってくる直人に言った。 「もう大丈夫やろ?あごの先端 右を軽く あごの先端や」と。
しかし、力強く振るう右ストレートにキレはなく、しまいには相手の頭を叩いて拳を痛めてしまう。
それでも練習してきた左ブローが多く決まり、デビュー戦をTKO勝ちで飾った。
しかし、明らかに課題は残した。直人自身もその課題に強く気づいた。
拳を痛め、ずっと練習で右は使わない代わりに、左の練習以外はシャドーボクシングを繰り返していた。
多くの経験と反省から強く強く直人は自身の成長を促された。
そして・・気づく。
本を読んだり、いい話を聞いたり、何かしらのたいそうな言葉を知る事も大事だろう。だけど自身の経験から学ぶ事以上の学びはないのだと僕は思う。
「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」 という言葉があるが、僕は人の話も、偉人の本も、他の知識もヒントにはするけど、最終的に自身の信念や軸を作ったモノはあくまでも自分自身の「実体験」からでしかない。
人間は皆、経験から学ぶ愚者であり、その為に生まれてきているのだと思う。
人を認められなかった僕も、右ストレートが打てなかった直人も、サウスポーが苦手だった住吉も、みんな愚者。グシャグシャ。笑
だけど、そんな愚者が己の壁を破り、人として一歩ずつ成長していく姿を世の中に見せる事が僕ら関門JAPANの使命なのだ思っている。      マサ

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