喬之決勝戦試合内容。

ボクシングを始めてから喬之の口数が減ったとお母さんが言う。ボクシングを通じて自分を高めようという姿勢が強過ぎるほどに出てきているんだろう。
そんな喬之には今、目の前に大きな壁があった。その壁を乗り越える事にすべてを懸けている。
喬之の前の試合で残念ながら皆負けてしまった。喬之に影響はないか?「自分のボクシング!」と念を押すが本人も重々分かっている。

第1ラウンドが始まる。予定どおりの距離とリズムで戦えている。「喬之!いいぞ!それや!」と声を飛ばす。このボクシングで負けはしない。
第2ラウンド、第3ラウンドと相手選手も三年生の意地を見せ、距離をうるさく潰してくるがクリーンヒットはない。ときおり、距離をとっての喬之のカウンターやコンビネーションが決まった。
結果は判定勝ち。僕の目から見て完勝だった。詰めてくる相手に対しての課題は残ったが、自分のボクシングを貫こうとした喬之が遂にひとつの壁を越えた内容だった。

試合後はいつも泣いている喬之。(笑)でも今日のうれし泣きは格別やな。
喬之はまだ二年生。インターハイ出場も九州大会出場も決めた。今後の新人戦にも繋がる価値ある優勝だったと思う。
一番苦しみ、一番求めた喬之がただ一人優勝。ボクシングや勝負の法則がここにも見られた気がする。失敗から多くを学び、次に繋げていくというやり方はボクシングでも何でも同じ。それをボクシングを通じて経験する事が喬之の一番の学びなのだと思う。
人生は基本的に辛い。だけど辛い中にも楽しみはたくさんある。辛さや苦しみさえ楽しむ事ができれば、人生は楽しい事ばかりだ。喬之!もっともっとボクシングを楽しんでいこうぜい!        マサ