直人、決勝戦試合内容。


1ラウンド目、向こうのコーナーに上林選手。こちらに直人。今まで四年連続で住吉が戦ってきた上林選手の相手が直人。なんだか変な感じがしてならない。夢を見てるような感じだった。
直人の出だしは良かった。作戦どおりのリードとポジショニング、リズムを意識しながら戦った。1ラウンドは取ったと思った。
2ラウンドに入り、直人のリズムが少し狂う。ペースが落ち、上林選手に攻め込まれるシーンが目に付いた。
勝負は3ラウンドだと思い、「直人!ここが勝負や!」とインターバル中に声を掛ける。直人もその声に応える。
日大ボクシング部の第一線から離れている上林選手に以前のような覇気が無い事を試合前から感じてはいた。この大会への出場は様々な思いを背負っての事だったんだろうと思う。上林選手の覇気の無さに、今まで住吉との戦いでしのぎを削ってきた僕らに何か寂しさを感じさせた。

そして3ラウンドが終わった。判定は微妙だと思った。判定では勝てないだろうと初めから予想して倒す作戦を取ったがなかなかに難しかった。やはり大きなポイント差での判定負けとなった。
しかし直人の成長も、課題もしっかりと見えた試練の決勝戦だった。覇気の無かった上林選手だったが、対戦までに膨らむ恐怖や不安を発奮材料にして努力してきた直人はきっと大きく向上したのだと思う。
今年は11月の全日本選手権大会に直人も出場する事になった。この経験はきっと後で生きてくるはずだ。 マサ