住吉、決勝戦試合内容。

鋭い動きを身に付けながらも、まだまだボクシングが安定しない住吉。これもすべては心次第であると注意をする。
そんな住吉が苦手とする長身サウスポーの清水選手との対戦。策は練りに錬った。

1ラウンド開始から動きは悪くない。相手が嫌がっている感じも見受けられた。ポイントは負けていても作戦のうち。流れを作って2ラウンド目からの攻撃に繋げていく。
2ラウンドに入り、更に調子は上がった。パンチも入る。しかし、ここから清水選手の本領発揮となった。
急にリズムが変わり、住吉が戸惑う。これは僕もよくやっていた事なので、清水選手の引出しの意図がよく分かった。
住吉のアタックは悪くなかった。だからこそ、リズムを変えてきたのだと思う。
ペースを譲ると流れは一気にあちらに向く。練習してきた住吉の渾身のカウンターが決まったと思ったが、そのカウンターに左ボディーのカウンターを合わされてダウンを奪われる。
一瞬でも1センチでもズレれていれば、逆にこちらがダウンを奪えたかもしれないタイミングだったが、流れと勢いに勝る相手選手に脱帽。あれは仕方ない・・
その後、しつこくまとめられてRSC負けを喫した。
運や勢いは「高い波長」や「強い自信」から生まれるように思う。数年前の中国ブロック大会では清水選手も判定によく泣かされていた。
いつからかメキメキと頭角を現し、国際大会でメダルを獲り、オリンピックに出場した。そんな経験を積んだ今、飛ぶ鳥を落とす勢いがある事を感じさせられた。
しかし、住吉も清水選手対策をやってきた事でサウスポーへの苦手意識が若干無くなりつつある。
まだ力は及ばなかったものの、良いシーン惜しいシーンが何度もあった。そして簡単に心が乱れる、ボクシングが安定しない、という課題もしっかりと見え、原因もだいたい分かる。その中でも、ひとつの壁を破り掛けた住吉がいた事も確かだ。
清水選手との対戦から得た事があると本人が言う。それは僕がずっと言っている事ではあるが、身を以て感じるという大切さを知ったのかもしれない。
去年の全日本で負けたのも長身サウスポーの現全日本チャンピオン。この経験を生かして今年の全日本優勝に向けて「心」も「ボクシング」も上げていく。    マサ