「高橋ボクシング」裏で打つ。

パンチを当てる方法は幾つかある。「スピード」・・だけどスピードがあってもモーションがあると当たらない。そこで「ノーモーション」・・相手が高いレベルになると、これだけでも難しくなる。そこで相手のリズムに合わせての「カウンター」・・で打ったり、「フェイント」や「布石」を使ってから誘導して打つ方法もある。
僕は昔から、トレーナーの持つミットとパンチがうまく合わずに困った経験が幾度もある。(仕方なくトレーナーのタイミングに合わせる)
数日前にジムの会員同士がマスボクシングを終えてからの話しが耳に入った。
「ヒロは早いけど、会長から言われるようにリズムが単調なんよな。音楽で言うところの裏で打ってみたらどうだ?」
この言葉が引っかかった。「ちょっと今の話し、もう少し詳しく聞かせてください。」と僕も話しに加わる。
Yさんは若い頃、東京まで行って音楽の道で上を目指していたらしい。そんなYさんはボクシングの筋や勘が非常に良い。
リズムには裏と表があると言う。タンタンタンタンならンタンタンタンタ、ののところで手を叩いてみるとよく分かる。
要するに、いつもとは逆のタイミングで打つという事だ。この話しを聞いてピンと来た。「俺はいつも裏のタイミングで打ってたんだ~」って。
ミットが合わなかったのはナチュラルでノーションだからというのもあるけれど、人とは違うリズムで打っているからなのだと気づいた。
このタイミングも相手にパンチを当てたいという強い思いが自然と与えたモノなのだと思う。だけど、ボクシングトレーナーとしては、このタイミングも分かり易く皆に伝えたい。
企業秘密でこれ以上は書けないが、俗に言う「ナチュラルタイミング」や「ナチュラルカウンター」というモノも偶然の産物と諦めずに理論的に解明できるのではないかと思っている。
角海老宝石ジムの田中トレーナーとのお話しの中で「選手らが持つナチュラルなタイミングを生かして指導している」という事を聞いた。
「裏で打つ」これもひとつのナチュラルタイミングだったと言えるのではないか。
パンチのフォームやクオリティー、動き方や戦術の追求から最近は「タイミング」という方向に意識が向かっている。ボクシングの核に近づいている??      マサ