直人、決勝戦試合内容。


住吉が優勝を決めた次の試合が直人の決勝戦。同じようなシュチューエーションで「自分も勝ちたい!」という強いプレッシャーや練習どおりのポジショニングが思いの他うまく取れていたから「このままでいい!」と指示を聞かずにカウンターを狙い続けた自我の強さから去年は優勝を逃した。
そんな思いからも今年の実業団に懸ける直人の思いは強かった。上背やリーチで大きく上回る相手に昨夜練った作戦どおりの動きに自分なりの動きも加え、今までにない集中の効いた良いボクシングになっていた。
集中はしているが、危ないシーンも幾度かあった。「集中!右に気をつけろ!右だけ見とけ!」と注意を出し続ける。その声もよく聞こえているようだ。
1ラウンド、2ラウンドと完全に主導権を掴み、パーフェクトな内容。3ラウンドに入り、負けている事は分かっているであろう相手選手が猛反撃を仕掛けてきたので逆にカウンターを取る事もできたが、「打ち合うな!リードリード!」と指示を出す。今大会の課題は「勝つ事」。その為に後手に回るシーンもあったが、ここまでのリードを守って最後のゴングを聞いた。

手強いと感じていた相手に渾身の勝利。去年の負けから「負ける因果」を学び、確実な成長を見せて自分自身の壁を乗り越えた直人。ほんとうにいい試合だった。
今日の体の動きは直人の過去最高だった。去年からのフィジカルトレーニングの成果も影の努力も、自我を捨てた「素直さ」も「勝ちたい!」という強い思いも、この優勝がその「勝つ因果」を表してくれているのだと思う。
人は失敗や苦い思いから多くを学ぶ。悔いの残る去年の決勝から一年間という時間をどう過ごしてきたのか。その答えがここにあった。
人には凝り固まった「思い癖」なるモノがある。その思い癖をいかに改善していく事ができるのか。そんな課題もボクシングから学んでいく事ができる。       マサ