思い癖。3

ジム会員に、いつも「肩の力を抜いて!」と言う。すると「普段の生活の中でいかに肩に力が入っていたのかが、よく分かるようになりました」と教えてくれる人も少なくない。
要するに自分が肩に力を入れている事に「気づいていなかった」という事。初心者にはパンチを上体の力で打とうとする人も非常に多い。
そんな「思い癖」を直していく事が指導の中で何より大変であり、価値のある事でもあるのだと思う。
人にはそれぞれの悪しき「思い癖」がある。家族であっても、その「思い癖」は皆違い、様々な衝突や誤解を生む。
それを「それぞれの価値観だから」と言ってしまえば何も言う必要はない。
勉強や習い事によって知らない事を知る事も大事だが、自分の間違った悪しき「思い癖」に気づき、改める事も非常に大切な事だと思う。
「これでいいのだ!」と赤塚不二夫の描くバカボンのパパのように生きれば楽かもしれない。でも僕は人は向上する為に生きているという考えを持つ。
だから、人生でもボクシングでも「これでいいのだ!」とは思わない。思った時点で向上(成長)は止まる。
肩に力が入っていても「これでいいのだ!」と言えば、上達も出来ず、健康を害し、自分を苦しめ続ける。
良い思いは持ち続けて構わないと思う。問題は悪しき「思い癖」。なにが悪しき「思い癖」なのか?と問われれば、自分自身を苦しめている思いや考え、または他の人や世の中に迷惑や嫌な思いを持たせている言動だと答える。
だから、僕も何かに怒りや不満、敵意や不快感が沸いたとき、「これは俺の間違った思い癖のせいでは?」と考えるようにしている。
僕にとって嫌な事でも他の人にすれば、たいした事ではない事も多いだろう。逆に若い子が落ち込んだり、悩みを抱えている姿を見ていて「まだ分からんのやな~」と思う事も多い。
だから人それぞれの「思い癖」があり、未熟であればあるだけ、自分自身を、もしくは周りを傷つける事にもなる。
自分の常識にも常に疑問を持ち、現状を見つめ、悪しき「思い癖」に気づき、向上していく中にこそ、本当の成功や幸せがあるように思う。
ボクシングにおいても、「これでいいのだ!」と凝り固まらず、物事を多角的に柔軟に捉えていく事で、次のステップへの可能性が開かれる。
今までもそうやってたし、これからもそうし続ける。
現状維持はしない。常に前へ。それが楽しいし、それが人生だと思う。      マサ