つかさ、準決勝試合内容。






モチベーションが上がらず、「ボクシングを辞める」とも言っていた つかさに、「今度の試合に出てから決めよう」と勧めた。
それに対し、首を縦に振った つかさの素直さに救いを感じていた。言って分からない子じゃないし、決して悪い子でもない。
そんな理由で、この半年ほど、まともに練習をしてきていなかった つかさ。 試合に出ると決めてからの減量が間に合わず、以前優勝した階級を捨て、一つ上の階級にも上げた。
それでも今日の試合、勝つ自信はあると言っていた。
僕も十分に勝てる相手と感じたが、パンチを効かせてチャンスを作っても、更に踏み込む気力と体力がなく、あとが続かない。
自分を信じる、自分の努力を信じる、と書いて「自信」。その自信が今日のつかさには無かった。
試合後に大きく顔を腫らした つかさが僕に言った。
      「やっぱり練習せんとダメですね」
      「それが分かればいい」 と つかさに言った。
資質や才能は高いが、情熱が強く沸かない つかさ。
この先、つかさがボクシングを続けるかどうかはまだ分からない。それでも、今日の試合では神様がつかさを殴っているように僕は感じた。
「因果の法則」 それを罰と捉えるのか、愛と感じるのかは つかさ次第。
何の為のボクシングなのか、なんの為の人生なのかをよく考えて、自分の壁を越えてほしい。その先に つかさの人としての大きな向上や幸せが必ずあるのだと思う。     マサ