一泊二日の上京物語3

空港へ向かう前に僕の住んでいた練馬区光が丘に立ち寄りました。
ここは光が丘団地といって、とても大きなベッドタウンです。
11年前に初めて来たときには、北九州や福岡とは違う別世界に見えました。
今思えば、この時点で大きな東京砂漠に飲み込まれていたんだと思います。
小林社長も会社の人達もジムの宮下会長も皆、優しく親切でした。
その優しさを素直に受け入れられず、世界チャンピオンになる事だけがすべてのような思いでやっていました。
ジム内では皆ライバル。人を心から応援する気持ちはありませんでした。
それは私生活でも同じだったんだと思います。会社の人達とも会ってお話ししましたが、あの頃と違います。それは僕が変わり、相手の印象が変わって見えるんだと思います。
「人は自分を映す鏡」と言いますが正にそれだと思いました。
東京という町を、東京の人達を、色眼鏡を付けて見ていたのは自分でした。
今、色眼鏡は付けていません。ボクシングでも自然体が1番と指導しているように自分自身も自然体でいる事を心掛けています。
色眼鏡を付けずに、新宿。池袋。光が丘。を観たとき、東京と言えども同じ日本であり、たいした違いはないなと思いました。
11年の間にいろんなモノを観てきた慣れかもしれませんが、それも成長。
毎日走った光が丘公園を1時間程歩いたり、走ってみたりしました。

この土のグラウンドの右側がスカッシュのコートで、よく飛んできたテニスボールを拾って投げ返してました。
そしたら、歩いていた僕の前にテニスボールが転がってきました!フラッシュバック!!
それを拾い、投げ返しました。自分の為でなく相手の為に。
あの頃はただ投げるのが面白くて投げ返してただけでした。
当時は自分の事で精一杯で人を思う余裕がなかったんだと思います。

「世界チャンピオン。世界チャンピオン。」と唱えながら走っていたあの頃の思いを思い出していたら日が沈んできました。
ちょっぴりセンチメンタルになったけど、あの孤独で辛かった東京も今となれば門司、福岡と続く第三の故郷になっている事に気づきました。
一泊二日の上京物語。やっぱり行って良かった。(^_^)        完